ドローイングシリーズ 76 x 110 cm
All posts by Naho Kawabe
Camera Isolata
web-based art project
https://camera-isolata.nahokawabe.net
オンラインプロジェクト「Camera Isolata」はHamburgische Kulturstiftungの助成により制作さた。この助成では、 »Kunst kennt keinen Shutdown (Art knows no shutdown)« というモットーのもと、Sers-Covid-19の蔓延により様々な活動が制限される中、表現者としてこの状況にアプローチしてゆくことが推奨された。
「Camera Isolata」はラテン語で「孤独の小部屋」という意味である。このタイトルは、ロックダウンによって人と会うことができなくなった私たちの状況への比喩でもあるが、同時に英語のカメラ、オンライン上で出会うため、私たちの上半身を現実世界から切り取ってネットスペースへと転送するコンピュータや携帯電話に内蔵された小さなデバイスのことでもある。ネット上の小部屋「Camera Isolata」は、世界に張り巡らされている海底ケーブルを伝って、海の底のどこかに発生しているはずだ。
「Camera Isolata」の管理人はオウムガイにした。オウムガイは化石として、生物として今この地上にあり、5億年前からその殻の中に殻の小部屋を内包している。彼らの太古の眼にはレンズはなく、カメラオブスキュラと同じように機能している。
私はこのプロジェクトに、遠く離れた場所に住む6人のアーティストを招待した:
Jane Brucker, ヴィジュアルアーティスト, USA
Miss Hawaii, ミュージシャン, Japan
Henrik Malmström, 写真家, Argentina
Setbyol Oh, 照明デザイナー, Germany
Ziyun Wang, 画家, China
Yohei Yama, 画家, Vietnam
ウェブサイトでは、3種類の見知らぬ者同士の出会いをビデオで見ることができる。「Camera Isolata」に招待されたアーティストたちは、このプロジェクトのルールについて簡単に知らされているだけで、オンラインで出会うまでは、お互いを全く知らなかった。
それぞれのビデオには、各アーティストのコロナ禍での生活について、テキストが添えられている。
管理人が隔離期間の終わりを告げると、オンラインスペースに閉じ込められていたアーティストは、各々のコンピューターを手に持ち、その場からWiFiの電波が途切れるところまで歩いてゆく。彼らの配信が途絶えるその地点が、オンラインでの繋がりの境界線なのだ。
サウンド: Veit Kenner
英語校正: Helmut Kostreba, Masaya Kawakatsu
Blooming Black
炭、紐、電球、バッテリー
展覧会: Boxes Museum, 広州 (CN)
コレクション: Boxes Museum, 広州 (CN)
Aufenthaltswahrscheinlichkeiten / 確率的滞在
展覧会 (The Blend Apartments & Artist in Residence / FLAG studio 大阪、 8. Salon e.V. ハンブルク) カタログ ビデオ
川辺ナホによるアート・プロジェクト
大阪・ハンブルク友好都市30周年記念事業
主催: Goethe-Institut 大阪 京都
テキスト: 川辺ナホ
カタログ「Aufenthaltswahrscheinlichkeiten」より
ハンブルクと大阪は2019年で友好都市30周年を迎える。私は、2001年からハンブルクに住む日本人美術家として、これまでに2009年と2014年の二回に渡り、友好都市記念行事に参加してきた。それらの経験を踏まえ、2019年の初めにハンブルク在住の美術家たちの作品を大阪で展示する企画を立ち上げることになった。この企画の特徴は、私のようにドイツ語を母国語としない、出身地がドイツ以外の美術家らによる展覧会であるということだ。
Aufenthaltswahrscheinlichkeiten / 確率的滞在
シングルチャンネルビデオ, 17’4
サウンド: Veit Kenner 声出演: Nir N. Alon, Kyung-hwa Choi Ahoi, Shan Fan, Hannimari Jokinen, Sho Hasegawa, Naho Kawabe, Linda McCue, Mitko Mitkov, Miwa Ogasawara, Joe Sam-Essandoh, Hua Tang, Youssef Tabti, Nikos Varsamakis
水面に反射している動き続ける光が映し出されている。ハンブルク在住だがドイツ出身ではないアーティストたちが語る「よそ者」としての自分を内省する声と、その光の動きはシンクロする。ビデオにはドイツ出身の日本人による日本語字幕が付けられていて、そのややぎこちない日本語は、アーティストたちのドイツ語の不完全さに呼応する。
展覧会: The Blend Art in Residency, 大阪 (JP) / Flag studio, 大阪 (JP) / 8. Salon e.V., ハンブルク (DE)
図録: カタログ “Aufenthaltswahrscheinlichkeiten”
Circle of Everyday Life
炭、モーター、紐、コンクリート、金属、羽、サイズ可変
床に撒かれた炭の粉塵の上に描かれたジグザグのラインは、東西ベルリンの壁の境界線である。小さなモーターで回転する羽が、その境界線を越えて炭の粉塵を掃きとってゆく。それによって現れる円環は、ベルリンの市街電車の路線と重なる。環状線である市街電車は、1961年から1989年の間も東西の国境をまたいで、運行されていた。
展示: Waitingroom, 東京 (JP)
LOL memory
– on going
アクリル板、銅線、紐、製本のり、金属、SF小説の「I」という単語
“Core Rope Memory “とは、ROMメモリー(ROM=Read Only Memory)の一種である。それはNASAの宇宙工場で女性たちが織ることで生産されていたので、別名「LOL Memory」(Little Old Lady Memory)とも呼ばれていた。この記録媒体は、1960年代に、NASAの初期宇宙計画に使用され、火星宇宙計画の実験やアポロ誘導コンピュータに搭載されていた。ソフトウェア開発の技術者だったマーガレット・ハミルトンが、アポロ宇宙計画のために「Core Rope Memory」の開発を成功させた。
「I」を切り抜いた小説:
„The Ship Who Sang“ (Nanne McCaffery, 1969)
„Love is the Plan The Plan is Death“ (James Tiptree Jr, 1973)
„And I awoke and found me here on the cold hill’s side“ (James Tiptree Jr, 1972)
„The Girl who was plugged in“ (James Tiptree Jr, 1974)
„The Women men don’t see “ (James Tiptree Jr, 1973)
„Houston, Houston, do you read?“ (James Tiptree Jr, 1976)
„We who stole the dream“ (James Tiptree Jr, 1978)
„And I awake and found me here on the cold hill’s side“ (James Tiptree Jr, 1972)
„With delicate mad hands“ (James Tiptree Jr, 1981)
展示: Galerie Nanna Preußners ハンブルク (DE) / Waitingroom 東京 (JP) / Konya 2023 福岡 (JP)