Category Archives: 炭

都市の現象学―いったい何が私たちの未来をこれほど不確かで、魅力あるものにしているのか?

2024年2月23日ー3月3日
Fukuoka Asian Art Museum Residence Program

レジデンスの成果は福岡アジア美術館とACF Galleryで2つのインスタレーションとして発表された。

ACF Gallery: In Search of Utopia (-et in Arcadia ego)
福岡アジア美術館: Study for a Drawing Room (for the Phantom of FAAM)

写真: 川崎 一徳

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Circle of Everyday Life

炭、モーター、紐、コンクリート、金属、羽、サイズ可変

Photo: Shintaro Yamanaka (Qsyum!)

床に撒かれた炭の粉塵の上に描かれたジグザグのラインは、東西ベルリンの壁の境界線である。小さなモーターで回転する羽が、その境界線を越えて炭の粉塵を掃きとってゆく。それによって現れる円環は、ベルリンの市街電車の路線と重なる。環状線である市街電車は、1961年から1989年の間も東西の国境をまたいで、運行されていた。

展示: Waitingroom, 東京 (JP)

真の女性は全ての結び目を解く

シングルチャンネルビデオ、49分15秒
カメラ: Saskia Bannasch、Naho Kawabe

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3Kgの炭の破片を二つの手が一本の木のような形に紐で纏めてゆく。手の動きは迷いなく滑らかで、所作の合間に手の持ち主である女性は小包の梱包に関する個人的な話、自身の母親との関係、冷戦時代のベルリンの政治的状況やその日常を語ってゆく。彼女は1956年に東ドイツから西ドイツへと亡命してきたのだ。様々な大きさの異なった形のものを紐で一つにまとめ上げるその手法は、母親から学んだ。50ー60年代に、多くの物資が個人的に西から東へ送られた。当時はビニールテープはまだ発明されていなかった。このテクニックとそれに伴う手の所作はもうすぐこの世界から失われるだろう。
タイトルの「真の女性は全ての結び目を解く/Eine echte Frau löst jeden Knoten」とは、彼女が十代だった頃、西ドイツの高校教師から聞いた格言だ。「女性」になるにはなんとも高いハードルがあることかと驚いた。当時のその感想を今でも思い出すという。

Exhibitions: Waitingroom 東京 (JP) / Boxes Museum 広州 (CN)